包摂的ジェンダー社会学プラットフォーム

設立趣旨と運営指針

 この研究会は、社会学をベースとしてジェンダーとセクシュアリティの研究を行う人たち・行いたい人たちのためのプラットフォームとなることを目的としてつくられました。背景には、日本の社会学が、現在広まっているトランスジェンダーに対する差別と排除に対して十分に対応できておらず、それによって、とりわけキャリア初期のジェンダー・セクシュアリティ研究者にとって、安心して活動できる場ではなくなっているという残念な状況があります。さまざまな社会的カテゴリーが交差する中で生じる差別現象を、理論的かつ実証的に捉えるための知を蓄積してきた社会学にとって、その研究活動の場をあらゆる人にとって包摂的なものとすることは、重要な責務であるはずだと私たちは考えます。この研究会は、その考えを同じくする人たちがつながり、それぞれの研究にフィードバックを提供しあいながら互いに切磋琢磨することで、個々人の研究とこの分野全体の双方を進展させていくことを目指します。

 また、言うまでもなくジェンダーとセクシュアリティの社会学は、フェミニズムの思想に共感し、あるいはその運動に携わる社会学徒によって生まれ、培われてきました。フェミニズムの思想と運動は深化を続け、現在では、女性の多様性に応じた女性差別の多様性を真剣に受けとめながら、同時にその多様性を分断の契機ではなく連帯の礎とするフェミニズムが模索されています。私たちは、そうしたフェミニズムの思想・運動の深化に共鳴する者たちの研究会として、研究についての議論の場を包摂的とするだけでなく、研究会の運営そのものも、フェミニズムの理念に沿ったものとしたいと考えます。

 以上のような考えのもと、この研究会では、以下の6項を運営上の指針にするとともに、この6項に賛同し、この6項の実現のために協働していただける方々を、研究会の参加者として歓迎します。この6項は、参加するすべての人にとって、その尊厳を傷つけられることのない場となる研究会を目指すために必要です。同時にそれは、参加するすべての人が協力しあうことでしか果たしえないプロジェクトでもあります。

 この研究会のすべての側面が、あらゆる差別と不平等の解消に取り組むフェミニズムの理念に沿ったものとなるように、ともに手を携えてこの会を盛り上げていきましょう。
 
1.ジェンダーとセクシュアリティにもとづく差別はもちろん、いかなる差別につながる言動も認めません。
2.教育上や研究キャリアにおける非対称性に気を配り、アカデミックな力関係の濫用を許しません。
3.差別的言動やハラスメントになりうるふるまいを指摘されたときには、自身の反省と努力により直ちに改めることが求められると同時に、必要に応じてほかの参加者もその改善に協力します。
4.発言する権利、および自分の発言に耳を傾けてもらう権利は、参加者全員が平等にもっており、それは研究発表と討議の場だけでなく、運営をめぐる議論においても保障されます。
5.ほかの参加者の属性やアイデンティティにかんして研究会を通じて知りえた情報を、当人の承諾なく誰かに話したり利用したりすることを認めません。
6.学生や研究キャリアの初期にある参加者の活動を支え促すために、研究会の運営に係る労働やコストの担い手は「シニア偏重」を原則とします。

2025年5月


小宮友根、三部倫子、武内今日子、
平森大規、平山亮、堀あきこ、
前川直哉、守如子、森山至貴(50音順)